テレワークを実践する上で障害となるものとは?
テレワークを実践する上で障害となるものとは?
これまでは毎朝決まった時間に、決まった職場の決まった席に座って業務をスタートすることが「当たり前」とされてきましたが、このように普及しているICT(Information and Communication Technology)の技術を活用すれば、世界中のどこにいても同じ環境で業務を進めることができ、職場のメンバーとのコミュニケーションや重要な会議への参加でさえも可能となっているのです。
そんな情報技術の環境変化のなかで、注目を集めているのが「テレワーク」と呼ばれる働き方です。
テレワークとは何なのか?どのようなメリットがあるのか?また、テレワークを実践したい!そんなときに障害となるようなことはないのか?今回は、そんなテレワークについて解説をしていきます。
テレワークとは
そもそも「テレワーク」とはどのような働き方なのでしょうか?あまり耳なじみがないという人も少なくないかと思いますので、簡単に解説をします。「テレワーク(telework)」とは、「tele=離れた所」と「work=働く」をあわせた造語で、職場から離れた場所で働く勤務形態を指す言葉です。
テレワークについては、Wikipediaでは以下のように解説がされています。
「テレワーク」とは勤労形態の一種でインターネット等を介して時間や場所の制約を受けずに、柔軟に働く形態をいう。
要するに、職場ではなく、自宅などでインターネットを活用して働くことを「テレワーク」と呼んでいます。
一般社団法人 日本テレワーク協会によれば、このテレワークに関しては大きく3つの種類があるとされています。
その3つとは「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィス勤務」となります。
在宅勤務
自宅にいて、会社とはPCとインターネット、電話、FAXで連絡をとる働き方。
モバイルワーク
顧客先や移動中に、PCや携帯電話を使う働き方。
サテライトオフィス勤務
勤務先以外のオフィススペースで、PCなどを利用した働き方。
また、テレワークに適している人について以下のような人をあげています。
・妊娠、育児、介護などの理由、身体障碍、ケガなどで、通勤が困難な人
・企画・総務・人事・経理などの管理分門、研究・開発部門に所属する人
・営業やSE、サポートサービスなどの顧客対応業務が中心の人
テレワークまとめ
- テレワークとは、在宅や勤務先以外の場所でPCなどを利用して働く勤務体系のこと。
- 必ずしもオフィス勤務でなくても、ICT技術を利用することでより生産性の高い働き方が実現できる。
テレワークのメリット
情報技術(ICT)が発達したことで、オフィス以外の場所でも同じパフォーマンスを発揮できる社会環境が整備されており、自宅や取引先などでPCや携帯電話を活用した働き方を実現できるようになってきています。このようにテレワークは、移動時間の短縮などによる、より効率的な働き方を実現することができますが、それ以外にも導入するメリットや意義があります。ここでは、テレワークを導入することのメリットについて解説をします。
少子高齢社会への対策として
現在の日本社会最大の課題が「少子高齢社会への対策」です。労働の担い手が急激に減少していく現状を目の前にして、一人でも多くの働き手を創出することは喫緊の課題となっています。
テレワークを導入することで、現在労働の担い手となることが難しい環境にある人に対して、新たな雇用を創出することが可能です。
例えば、出産や育児、介護などで通勤が難しい女性や、身体的な理由により通勤が難しい障害者や高齢者に対して、在宅での勤務による雇用の機会を創出することができます。
ワーク・ライフ・バランスの実現
過剰な長時間労働の是正などが「働き方改革」の旗のもとに議論をされますが、その際に必ず議題となるのが「ワーク・ライフ・バランス」をどのように実現していくかということです。テレワークを導入することで在宅での勤務が可能になり、無駄な通勤時間の削減や、よりフレキシブルな労働時間の創出により、自分自身の時間として使える割合が増え、家族と過ごす時間を増やすことが出来たり、自己啓発に充てることができる時間を増やすことが可能となります。
これ以外にも、企業側ではコスト削減や災害時での事業継続など、様々なメリットが存在しています。
テレワークのメリットまとめ
- テレワークを導入するメリットとしては、通勤困難者に対する雇用創出を通じて、少子高齢社会での問題となる労働人口の埋め合わせが期待できる。
- 働き手としてのメリットは、ワーク・ライフ・バランスの実現が容易となる。
- 企業としては、コスト削減や緊急時の対策などとして有用性がある。
テレワークを実践することの妨げになっているものとは?
テレワークを導入することは、「社会」「働き手」「企業」それぞれにとってwin-win-winの好循環を生み出す「働き方改革」にとって非常に有効な打ち手のひとつであると考えられますが、なかなか浸透しないという現状があります。
このようなテレワーク浸透の妨げとなっているものは何なのでしょうか?その要因について解説をしていきます。
日本型の「働き方」
テレワークの導入に対して、最も高いハードルとなっているもの、それは日本の企業社会に深く根付いている「共有型」の働き方にあります。
日本では「空間と時間をみんなで共有して働く」ということが、働くうえでの「暗黙の了解」として深く根付いており、働くのであれば、みんなが同じ職場で、同じ時間に、同じ情報を共有するべしという文化が企業および管理者と働き手の双方に浸透しています。
その「暗黙の了解」は、かつての情報技術が未発達な社会であったり、工場労働のように、物理的な理由で空間・時間・情報を同じくしなければならない職種であれば必然性のある働き方ですが、PCやインターネット、モバイルデバイスがここまで発達した現代の日本社会では、明らかに合理性を欠いた考え方になります。
しかし、「それが当たり前」という意識も問題依然としてテレワークの浸透を阻むハードルとして強固に存在しています。
管理者の意識
次にハードルとなっているの「管理者の意識」です。これも先ほどの働くことに対する文化と同様に、これまで管理対象となる働き手全員を目の前にして管理をしていたという意識が管理者に強く根付いているために、対面でのコミュニケーションがなければ管理ができないという意識を生み、テレワークの導入を妨げています。
働き手の意識
そして、前述の2つと同じくハードルとなっているのが、「働き手の意識」にも存在をしています。「管理をする上司が目の前にいて、指示を与えてくれないと仕事ができない」といった受け身の意識が働き手のなかに少なからず存在し、そのことがテレワーク導入の妨げとなっている状況も、残念ながら現実としてあります。
テレワークの妨げまとめ
- テレワーク導入を妨げているハードルは、全員が「同じ空間、同じ時間、同じ情報」を共有しなければ仕事はできないという「企業・管理者・働き手」の中に根付いた文化と意識である。
最後に
現在、国家戦略として日本社会全体で掲げている「働き方改革」ですが、働き手にとっては自分のライフスタイルに応じた働き方に変革をすることで、ライフ・ワーク・バランスのとれた働き方をすることで、より満足度の高い生活を送ることを目指す内容です。
また、企業にとっては、少子高齢社会である日本において貴重な労働資源である働き手をより有効活用し、無駄なコストを削減し、生産性を向上させるための施策であります。テレワークを導入することは働き手と企業、双方にとっての働き方改革を実現するために非常に有効な打ち手になるはずですが、それぞれに染みついている「働き方」への意識がそれを妨げているのが現実です。
先ずは、自分自身のライフスタイルを見直して、どのような働き方をすることがより、自分自身に適しているのかを考えてみましょう。そして、在宅ワークといった選択肢が取れるように実践できる部分から取り組むことで、自分発信の「働き方改革」をはじめてみませんか?