テレワークをする上で、管理職が気を付けておくべきマネジメント術とは?
テレワークをする上で、管理職が気を付けておくべきマネジメント術とは?
テレワークとは?
国のICT利活用を促進している総務省によると、「テレワーク」とは、「ICT(情報通信技術)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」と定義されています。
ちなみに語源は、「tele=離れた所」と「work=働く」を合わせた造語です。
テレワークは働く場所によって、在宅勤務(自宅での勤務)、モバイルワーク(顧客先や移動中の勤務)、施設利用型勤務(サテライトオフィス等での勤務)の3種類に分けられます。
なお、これらの実施頻度によって、常時テレワークと、テレワーク勤務が週1~2日や月に数回、1日の中での一部の時間など限られる随時テレワークがあり、上の3つの種類のテレワーク形態と同様に、実際は様々な形態で導入されています。
どんな人に、どんなメリットがあるの?個人・組織にとっては?
ICT技術の発展と企業における環境整備のおかげで、テレワークによる柔軟な勤務形態が可能となってきています。
そこで、ここからは「テレワーク」とは、「どんな人」に、「どんなメリット」があるのかについてみていきたいと思います。
個人のメリット
様々な切り口があるかと思いますが、ここではまず労働者の観点から、以下2点の視点を考えてみます。
①何らかの個人的事情により通常の勤務形態で働くことが困難な人
②通常の勤務形態で働いているが、ICTを活用したテレワークにより、一層効率的な働き方ができる職種の人
まず、①「何らかの個人的事情により通常の勤務形態で働くことが困難な人」についてですが、これは具体的には、妊娠・育児・介護・身体障害・怪我などにより、一時的もしくは恒常的に通勤や外出が困難な人のことです。
このような人はこれまでの「会社に通勤して仕事をする」という勤務形態が当たり前であった時代においては、働きたいという「意欲」や、「能力」があったとしても、個人的事情により働くことが困難であるのが実情でした。
しかし、テレワーク等により、自宅での在宅勤務などが可能になり、働く場が開かれたのは大きなメリットがあると言えます。また、②「通常の勤務形態で働いているが、ICTを活用したテレワークにより、一層効率的な働き方ができる職種の人」にとってもテレワークがもたらすメリットは非常に大きいと思います。
例えば、訪問営業担当者やSE、サービス業など特に外出が多い顧客対応業務に従事している人にとっては、それまで一日の業務を終えてから会社まで戻り、日報作成や提案書作成などの作業を行うのが普通でした。
それがテレワークにより、外出先での空き時間を活用し業務ができるようになり、移動時間の活用や直出直帰による効率的な業務を行えるようになり、メリットは大きいと思います。
組織のメリット
これまでテレワークによる「個人のメリット」をみましたが、これはそのまま「組織のメリット」に言い換えることができます。①の「何らかの個人的事情により通常の勤務形態で働くことが困難な人」が働けるようになると、人手不足と言われる今日の日本社会において、組織の労働力を確保できる大切なリソースになります。
また、労働者が定着することにより、採用コスト低減、スキルの定着など副次効果は言わずもがなです。
同時に、②の「通常の勤務形態で働いているが、ICTを活用したテレワークにより、一層効率的な働き方ができる職種の人」が、テレワークにより効率的な業務を行うことで、生産性の向上や売上拡大といったことに繋がり、①と同様に組織にとっては非常に大きなメリットとなります。
一方、デメリットや危険性は?
ここまで、テレワークのメリットについて、労働者と組織双方のメリットについてお話させていただきました。
では、「テレワークにデメリットはないのか?」という疑問が当然発生するかと思います。ここからはテレワークのデメリットについて、特に「管理職」の立場から考えていきます。
まず第一に、「管理職の勤怠マネジメントが難しい」という点があります。
在宅勤務やサテライトオフィスを活用する社員は、旧来の勤務形態のように常時職場に在席するわけではないため、管理職によるマネジメントが難しくなります。具体的には、働いた時間の時間管理や、休憩時間の曖昧さ、取り組んでいる業務内容が見えにくくなるといったことが発生しかねます。
第二には、「情報セキュリティリスク管理が通常の勤務形態に比べより一層必要になる」という点があります。
テレワークでは、パソコンやスマートホン等のIT端末を活用して、「社外にて」業務を行うことになります。
それによりセキュリティリスクは高まります。具体的には、端末の紛失や、ウィルス感染等による情報漏洩、パソコン画面の除き見や、会社情報の私的流用が想定されます。
第三に、「組織内のコミュニケーションが減る」可能性があり、それによる弊害が発生するという点です。
テレワークにより社内に在席する時間が減り、一人で作業する時間が増えるので、組織内のコミュニケーションが減少しがちです。組織内の社員同士が取り組んでいる業務内容がわからなかったり、連絡を取りづらかったりすることにより、円滑な業務進行の妨げになってしまう可能性があります。
管理職はどうマネジメントすべき?
テレワークにより発生するデメリットについて、3点解説しましたが、ではこれらの課題に管理職はどのように対処すればよいのでしょうか。管理職のマネジメントの観点からお話させていただきます。
まず第一のデメリット「管理職の勤怠マネジメントが難しい」という点については、報連相の仕組み作りをしっかりとルール化することが大切になります。特にITツールを活用したマネジメント方法の導入を考えましょう。
具体的には、パソコンのオン/オフのログを自動で集計するシステムの導入や、作業履歴やWebカメラを使っての管理があります。ここで気をつけなくてはいけないことは、テレワーク実施者と管理職双方において管理が煩雑になることを避け、いかに効率的にマネジメントするかが大切です。そのためにもITツールによる管理方法を模索しましょう。
第二の「情報セキュリティリスク」については、まず特にテレワークを実施する社員の管理職やIT管理者がまずこのリスクについて認識することが大切です。その上、明確なルールを策定し、テレワーク実施者に遵守させるようマネジメントすることが大切になります。
ここでも、セキュアなサービスの活用や、ネットワークや端末の情報セキュリティ対策に万全を期すことが必要になります。
第三の「組織内のコミュニケーションが減る」デメリットについては、円滑なコミュニケーションを図れる環境構築が大切になります。遠隔での業務であっても、円滑に業務を進められるようにするために、ITツールを活用しましょう。具体的には、Web会議システム、テレビ会議システム、チャットツール等の導入が挙げられます。
まずは現状の業務の棚卸しを行い、そのために必要なコミュニケーション方法を洗い出し、適切なITツールの導入を検討しましょう。