働き方改革は今後、こうなっていく! ~2018年版 働き方改革ポイント~

働き方改革は今後、こうなっていく! ~2018年版 働き方改革ポイント~

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目次
国会での論議やメディアでも連日報道されており注目されている「働き方改革」ですが、現在、その議論の中心は「長時間労働の改善」になっているかと思います。

単純に「残業を減らす」ことだけで「ワークライフバランス」が最適化され「働き方改革」が実現するのでしょうか?
今回は、働き方改革「本来の意義」について考えてみます。

「働き方改革」とは「自分らしい生き方の実践」

「働き方改革」が持つ本来の意義、それは「自分らしい生き方の実践」を可能とすることです。
裏を返すと「今の働き方」では、「自分らしい生き方」が実践できないということです。

今の働き方の問題点と課題

今の働き方の問題点それは、「働くこと=企業に所属すること」という日本社会全体に根強く残る封建的な職業観です。
日本では中世以来ながらく「封建制度」が社会構造の根幹を支えてきました。

「藩主などの主人に対して生涯をささげて使えることこそが人生であるという価値観」は日本人のDNAに深く染みついており、武家社会が終焉した明治以降の近代日本社会においても、姿を変えて現代まで脈々と受け継がれています。

現代社会においては、「藩主」が「企業」に姿を変えて、「終身雇用」の名のもとで人生をささげることが「働くこと」として一般化しています。

結果的に、「何を職業として、どのように生きていくのか」という自分主観でのライフスタイルよりも「どこで働くのか?」だけが「人生の目的化」となっており、このような企業主観でのライフタイルが当たり前になっています。

職業を聞かれたとき、生業としている内容を具体的に語れる人がどれだけいるでしょうか?
多くの人は「所属企業」を述べるに留まるでしょう。そして聞く人も「何をしている人」ではなく「所属している企業」についてで、どのような人であるかをラベリングするのが普通だと思います。

このような「企業至上主義」に基づく社会構造そのものが「自分らしい生き方」を実践するうえで最大の課題であり、現在の「働き方」を「企業ありき」という「封建的使役労働」に押し込めている原因なのです。

そして「働き方改革」とは、このような「企業主観」でのライフスタイルから「自分主観」のライフスタイルを実践するためのパラダイムシフト(価値観などの劇的な変化)を指す言葉なのです。

ここまでのまとめ
  • 働き方改革は単なる労働時間の改善や残業時間の削減ではない。
  • 今の働き方は「企業ありき」で「企業中心」の社会構造が問題である。
  • 働き方改革とは「自分らしい生き方」への社会全体のパラダイムシフトである。

社会変化に応じた新しい働き方の推進

なぜいま「働き方改革」なのでしょうか?そこには社会構造の大きな変化が影響しています。

少子高齢社会という「社会構造」の変化が及ぼす影響

今「働き方改革」を政府が推進しようとする背景には「少子高齢社会」という目の前の大きな社会問題があるからです。2015年の国勢調査の結果、日本は人口減少という史上類を見ない局面を迎えました。「人口減少」がもたらす一番の問題は「働き手がいなくなる」という「労働力の減少」です。

ここで大きな価値観の転換が起こります。社会における「ヒト」の価値向上です。現代日本のような資本主義経済社会を構成する「ヒト」「モノ」「カネ」において、「ヒト」の価値が最も高いものに変わろうとしています。

企業マインドも、かつてはより多くの「カネ」を獲得するために、多くの「モノ」を生み出し、投資をする。その手段として「ヒト」を使役していたわけですが、この価値観が一変したのです。

今では「ヒト」をどのように確保するべきかが一番重要となり、そのために「カネ」や「モノ」を使う社会へと徐々にシフトしてきています。

先端テクノロジーがもたらす「産業構造」の変化による影響

人口減少という「社会構造」の変化以外にも「働き方改革」に大きな影響を及ぼしているものがあります。

それが「産業構造」の変化です。「AI(Artificial Intelligence=人工知能)」や「IoT(Internet of Things=モノのインターネット)」そしてロボティックス技術など、最先端の技術革新は産業全体のあらゆる部分で実用化が進められており、現在人の手で行われている仕事の多くが「自動化」され、人の手を必要としなくなってきています。

政府も「第4次産業革命」もしくは「Society5.0」として産業構造全体の改革を推進しています。

政府はこれらの先端テクノロジーを活用することで、少子高齢社会の更なる拡大による少労働力社会という問題を克服しようと考えています。

これまでたくさんの人が従事していた仕事の多くは「非人的労働力」によって自動化され、そこで余剰となる「人的労働力」を不足する別の産業へと転換することは避けて通れない時代になっています。

このような「産業構造」の変化が、結果として「職業」や「働き方」に対する考え方を「企業」「働き手」双方が変えなければならない状況を生み出しているのです。

副業促進による新たな労働力の創出と働き方の多様化

少労働力社会という社会構造の変化、そして先端テクノロジーを活用する産業構造の変化、この2つの大きな変化がもたらした1つの動きが「副業の解禁」です。

労働力不足の解決策として「新たな労働力の創出」を目指して政府が推進しているのが「副業の解禁」です。副業を認めることで1人の「ヒト」の労働機会が増え、新たな労働力を創出しようというのが狙いです。

またIT技術の進歩は、これまで職場でしか行うことができなかった業務を自宅などのあらゆる場所で行うことを容易にし、副業促進に大きな影響を与えています。このように社会的な必要性や社会インフラの整備によって推し進められる「副業」はこれまでの1社専属による終身雇用とは異なる「働き方の多様化」を実現するために必須のことなのです。

ここまでのまとめ
  • 働き方改革の背景には少子高齢社会がもたらす少労働力社会の到来がある。
  • 最新テクノロジーがもたらす産業構造の変化が働き方に大きな影響を与えている。
  • これからの社会においては副業など多様性を持った働き方が必要となっている。

企業の使役からの自律がもたらす「労働からの解放」

働き方改革の本質が自分主観のライフスタイルの実現ということを述べてきました。
そして、それを実現するための社会環境が整いつつあることも紹介をしてきました。
変わりゆく日本社会のなかで「真の働き方改革」がもたらすものが何かを考えてみます。

「収入による使役」から自律で実現する「労働からの解放」

企業と従業員の主従関係を成立させているもの、それは「収入を背景とした見えざる恐怖」です。
所属する企業で自分がやりたいことを自由に行っている人もいるとは思いますが、現実にはそのような人は少ないと思います。企業から与えられる業務を盲目的に付き従う一番の理由、それは「収入を絶たれる恐怖」です。

本来であれば、企業や上司から降ろされる方針について自己主張をするべき場面でも、多くの人が自分を殺して従うのは、「自分の意志」と「収入の補償」を天秤にかけたときに後者を選択するからです。

この恐怖から自律するためには「収入を得る方法を複数持つ」ことが重要になります。

副業や兼業などによって収入源を複数持ち、生活を脅かされる心配さえなければ、「ヒト」はもっと自由な働き方や生き方を選択することができるのです。

生きるための収入を得るためだけに主人に仕える「労働」から解放され、自分らしい生き方を実現することこそが「真の働き方改革」なのだと考えます

まとめ

まだ始まったばかりの「働き方改革」についての議論は、目先の「長時間労働の改善」に終始していますが、より議論が深まり、本質的な「働き方の課題」に議論が進み、日本社会全体の労働構造に関する議論へと発展し、自分らしい生き方を実現するための「働き方改革」が早期に展開されることを期待しています。

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